弦を一人で張るには(補助弦編)

リカーブフルサイズクロスボウの組み立ては非常に単純ですが、唯一弦を弓にかける作業が非常に苦労します。
※リカーブクロスボウは、弓に滑車がないタイプです。
その際に、便利が良いアイテムが「組立メンテナンス補助弦」です。
ここではその補助をして一人でも弓に弦をかける事ができるメンテナンス補助弦について紹介します。
下の画像をクリックすると拡大します。

ドローウェイトのポンド数は、何kg(キログラム)?

クロスボウのドローウェイト(弦を引く重さ)はポンド表記がされています。
いったいどのくらいの重さがあるのか日本人にはなじみが薄いです。
クロスボウに使われているポンドをキログラムに換算してみました。
ご参考になさってください。
50ポンド → 約22.6kg

80ポンド → 約36.2kg

120ポンド → 約54.4kg

130ポンド → 約58.9kg

150ポンド → 約68kg

175ポンド → 約79.3kg

180ポンド → 約81.6kg

185ポンド → 約83.9kg

200ポンド → 約90.7kg

225ポンド → 約102.6kg

一般的によく出ている150ポンドでも約68kgの力で弦を引くことになります。
したがって成人男性でも引けない方がいらっしゃいます。
力に自信が無い方はコッキング紐をご使用ください。

クロスボウのメンテナンスに使用する潤滑剤

クロスボウのメンテナンス箇所は

・各ボルト類の締め付け
・コンパウンド仕様の場合は滑車
・トリガーとその内部
・レール
・弦、ケーブル

その他

・防錆のため金属部分すべて
上記の部分に行いますが、この際に防錆、潤滑のため潤滑剤の利用を行います。

潤滑剤について

潤滑剤といえばクレ5-56などが思い浮かびますが、クロスボウはシリコンスプレーを使用するのが良いとされています。
シリコンスプレーは各メーカーからさまざまなものが出ていますのですぐに見つかるはずです。

弦とレールのメンテナンス

弦、レールについては、ワックスです。

クロスボウをコッキングする際、なぜか弦がかからない

組み立てたけど弦を思いっきり引いても弦が最後まで行かない・・・
購入時そういった経験をしたことがある人は多いと思います。

これって、どんな状態?

力がないだけで引けないこともありますが、よく見ると写真の部分がこのような形状になっていることがあります。

(画像をクリックすると拡大します)
これをみて不良品????と思う人はなかなか鋭いですが実はそうではありません。
購入時初回や発射後に写真のような状態になることがあります。
このままでも引けますが、この状態ですとかなり固くなっているので引くのが大変な場合があります。

対処方法

購入時初回一回は行った方が良い方法です。
柄の細いドライバーなど固く細い棒状のものを準備します。
これを写真のように隙間に入れます。

(画像をクリックすると拡大します)
トリガーのロックである、
「安全装置」を「解除」にしてドライバーを上に引き上げます。
※通常は安全装置を「前(FIRE)」にすると解除になります
※2014年より安全装置を解除しなくてもコッキングできる機種が出てきています(最下部参照)
カチャンとドライバーが通過すれば終わりです。

弦が通過するのが楽になります。

機種によっては

「安全装置を解除してからコッキングする」事が主流でしたが、2014年あたりから「安全装置の解除をせずにコッキングできる機種」が出てきています。
PL(PerfectLine、PoeLang)社製のジャガークロスボウが徐々に「安全装置の位置に関係なくコッキングできる」タイプになっているようです。
このタイプの場合、弦をコッキングする前には「安全装置自体が動かない」です。
※コッキング前にはトリガーが引ける(将来仕様変更になる場合があります)
弦が正常にコッキングされれば自動的に安全装置がロックされます。
※安全装置がロックされるとトリガーは動きません
※矢を装着せずに発射行為をする「空撃ち」は絶対になさらないでください
2014年時点ではまだまだ「安全装置を解除してからコッキング」するタイプが多くありますが、新タイプのような場合もありますので、弦のコッキング前に安全装置が動かないと慌てる必要はございません。

ピストルクロスボウの誤射防止テクニック

ピストルクロスボウ全般に言えることですが、特に50A1、80A1は組立のバランスで誤射しやすくなる傾向があります。
本体の構造上、ちょっとしたはずみで弦が移動してしまい発射状態になることがあります。
このような症状を防ぐには、製品をちょっと加工することで症状が出にくくなります。
※加工については、自己責任になりますので予めご了承ください。
80A1を例にし、ご説明いたします。
ちなみにピストルクロスボウ全般で方法は、ほぼ同じです。

加工する部分はココ


見ての通りちょっとしたはずみで誤射しそうで不安になります。

加工に使用する工具は?


身近にある100円ショップの商品です。
単なるヤスリです。太すぎるのは使えません。
適当な大きさのものを選びましょう。

傷防止の為バラしてみました


・・・が、意外とバラさなくてもできそうです。

加工実施!


周りの部品を傷つけないようにゆっくり削ります。
アルミ製のピストルクロスボウでも比較的簡単に削れます。
ちなみに、一度ばらしましたがバネ等の部品が飛ばないように!
※カバーは元に戻して作業した方が良いです。

出来上がり!


写真では分りにくいですが、若干のくぼみが出来ています。
つける過ぎるとトリガーが重くなります。
トリガーを重くしたい方にも有効な加工です。

クロスボウを始めるにあたって、最低限必要なものは?

クロスボウを始めるにあたりどのようなものを同時に買ったほうがいいのか最低限で書いてみたいと思います。 初心者で始めてクロスボウを購入されることが前提になります。

1.本体


当たり前ですが、まずは本体です。
クロスボウの選び方ですが、よほどこだわりが無い限り150ポンド以下のリカーブタイプを選ぶと良いと思います。
150ポンドでもびっくりするくらい威力があります。初めての方は120、130ポンドでも十分楽しめると思われます。
また、コンパウンドタイプについて、組立は楽ですが、メンテンスが大変です。
初めてクロスボウを扱うと、購入後すぐに弦などを切ってしまう場合があります。
弦は消耗品なので、交換すると再びクロスボウを楽しむことができますが、 高い機種になるほど、消耗品も高くなる傾向がありますので、1台目はリカーブタイプが無難です。
また、テンポイントやバーネットなどの機種については、消耗品が手に入りにくいリスクもあります。

2.替え弦


弦は本体に付属していますが、いずれ切れます!
クロスボウはアーチェリーと異なり威力も高く台座をこすりながら発射します。
したがって寿命は短いです。
かならず予備を!
 
※クロスボウの機種によっては、メーカーから取り寄せできない替え弦も存在します。
※もし、商品ページにない替え弦がご希望の場合は、当店で作成できる場合もあります。お気軽にお問い合せください。

3.矢


当店では、フルサイズクロスボウ用矢で主に14インチ、16インチ、20インチのサイズがございます。
矢の選び方は、クロスボウに同梱されている矢の同サイズ、もしくはそれ以上のサイズがいいかと思います。
※矢の選び方の詳細はコチラ
 
もし、矢が同梱されていない機種だった場合は、下記の内容を目安にしてください。
 
120ポンド → 14インチ
150ポンド → 16インチ
185ポンド → 20インチ
 
他の大きさのものが使えないという意味ではありません。
クロスボウは短い矢を使用すると負荷が少なくなり弦や弓に大きな負担がかかりますので寿命を縮める原因になります。
※テンポイントやバーネットの機種は、18インチ以上のサイズが無難です。

4.弦ワックス


先程もご説明したように、弦は消耗品なので切れます。
でも、少しでも寿命を延ばしたいですよね?
メンテンスすれば伸びます。その差は、約2倍!!(断言はできませんが、何もしないよりは伸びます)
弦ワックスについてはコチラでも記載しています。
 
◯商品の詳細はコチラ

5.メンテナンス補助弦


弦を交換するときなどのメンテナンスに!
 
このアイテムが無いと弦の張替えが苦労しますよ。(リカーブタイプのみ)
 
◯商品の詳細はコチラ

6.コッキング紐


力に自信が無い方や、クロスボウを長く楽しみたい方は必須アイテム!
 
150ポンドクラスでも、素手でのコッキングは非常に苦労します。
成人男性でも引けない方がいます。そのくらいの重さです。
となると、たとえ引けたとしてもコッキングは大仕事です。
その仕事を楽にしてくれるアイテムがこれ!
コッキング紐でコッキングすると約半分の力でコッキングができます。使えば明らかです!
 
◯商品の詳細はコチラ

クロスボウの矢の飛距離はどのくらい?

クロスボウをお持ちの方が、クロスボウを安全に楽しむためには射撃場所が必要ですが、ポンド数や機種によって矢の飛距離が違うため、撃つ場所によってある程度選ぶ機種が絞られてきます。

では、実際にクロスボウで的撃ちを楽しむ場合、どのくらいの広さが必要なのでしょうか。
そこで今回は、クロスボウの射程距離や矢の最大飛距離について記載します。

クロスボウの射程距離

同じポンド数のクロスボウであっても矢の初速(威力)は機種ごとに異なるので一概には言えませんが、参考までに的撃ちとして使用する際の有効射程距離(的を狙い、狙ったところに命中可能な最大飛距離)の目安は下記のようになります。

ピストルクロスボウ(50ポンド)

有効射程距離:約10~15m

ピストルクロスボウ(80ポンド)

有効射程距離:約15~20m

フルサイズリカーブクロスボウ(120ポンド)

有効射程距離:約20m~30m

フルサイズリカーブクロスボウ(150ポンド)

有効射程距離:約30~40m

コンパウンドクロスボウ(初速300フィート以上)

有効射程距離:約30m~50m
(40m以上の距離を狙う場合はスコープが必要な方が多いです)
※ポンド数は、コッキング時(弦を引く作業)にどれだけの力が必要かを重さで表した数字です。ポンド数が大きいほど、弦に蓄えられる張力が大きくなり、飛距離との相関があることから、便宜上、クロスボウの飛距離の目安としてポンド数で記載します。

クロスボウの最大飛距離

さて、クロスボウの有効射程距離がわかりましたので、その距離の射撃場があれば、安全に遊ぶことが出来るかといえばそうではありません。
なぜなら、単純に飛距離を出すために矢を斜め45°程度で撃った場合、クロスボウの矢はさらに遠くまで飛ぶからです。

無風状態・弦や弓の劣化は無いと想定・矢を斜め45°程度上に向けて撃った場合の最大飛距離の目安は下記のようになります。

ピストルクロスボウ(80ポンド)

最高飛距離:約100m弱

フルサイズクロスボウ(150ポンド)

最高飛距離:約200m強

コンパウンドクロスボウ(初速300フィート以上)

最高飛距離:約300m強

クロスボウの射撃場所で必要な広さは?

2022年3月15日に、銃刀法改正が施行されたことにより、標的射撃は、一定の基準を満たす限られた場所(以下、射撃場)でのみ行えるようになりました。
一定の基準を満たす限られた場所について、詳しくは警察庁HP【銃刀法施行規則のクロスボウ関係改正部分】(外部サイト)(PDF)の「第八十二条の四」及び「別表第二」をご確認ください。
※基準を満たさない場所での射撃等は絶対に行わないで下さい

最後に

海外ではクロスボウは狩猟等に使われることが多いため、射程距離が10mであっても強力な物が求められますが、日本では、標的射撃目的での使用のため、的までの飛距離が取れれば良く、実はそこまでの威力は必要なかったりします。
クロスボウを楽しむ際は、矢の最大飛距離と有効射程距離を参考に最初のクロスボウを選んでみてはどうでしょうか?
そのうち射撃場の確保ができたり、広い場所を安全に使用できるようになった時はそれに応じてグレードアップしていけば良いかもしれません。

注意

※クロスボウの矢の飛距離は、クロスボウに使用されている矢の長さや風向き、クロスボウの弓や弦の劣化状態により大きく異なりますので、目安や参考までにして下さい
※日本ではクロスボウやアーチェリーを使用しての狩猟(害獣駆除含む)は「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」によって禁止されています
※2022年3月15日に、銃刀法改正が施行されたことによりクロスボウの所持が許可制になりました。クロスボウを所持する方は住所地を管轄する都道府県公安委員会にて、所持許可証の取得をお願いします。

関連記事

初速・運動エネルギーの表記について

クロスボウを選ぶ際に威力などの参考値となる初速や運動エネルギーの表記についてですが、これは同一メーカー間で比べる分には全く問題がありませんが、他のメーカーのクロスボウのデータを比べる際には問題があります。
これらのデータを測定する基準というのは正確には決まっておりません。
また、多少の誤表記があったとしても参考値として出している以上法的にお咎めがあるわけでもありません。
したがって各メーカーは各メーカーの基準で測定しております。
これに似たものにフラッシュライトのルーメン数があります。
世界基準のようで非常に参考になる値のように思われていますが、各メーカー間での測定基準の違いにより同じルーメン数でも信じられないほど明るさが違うことがあります。
あくまでも参考値として他メーカーの比較検討には参考程度に見た方がよさそうです。

初速 385フィート/秒
運動エネルギー 122FP
以前、テンポイントより優れた初速のクロスボウを、実際に撃ってみましたがテンポイントより威力を感じないことがありました。

20mm幅のスコープやドットサイトが取り付けれないとき

クロスボウの標準で付いているマウントレールは
20mm幅以外に、10~13mm幅が存在します。
もし、10~13mm幅だった場合、20mm幅用のスコープやドットサイトをつけることができません。
そんなときは!変換マウントを使いましょう♪
変換マウントには、樹脂製とアルミ製の2種類あります。

樹脂製のマウントをお選び頂いたときに注意が必要です。

機種によりマウントの形状や大きさがまちまちですべての商品にそのまま付くということはありません。
そのまま付けばラッキー!機種により加工が必要になることは覚悟してください。

しかし、150ポンドシリーズリカーブは現在のところ確認した段階ではほぼそのまま付きます。

つけ方はプラスチックハンマー(100円ショップなどで売っています)で軽く叩きながら入れます。
きついので折らないように注意しながら入れてください。
万が一折れてしまってもそのまま順にいれれば問題なく使用できる場合がほとんどです。

問題は、全く入らない場合やゆるゆるの場合です。
ピストルクロスボウはそのまま入ると思わない方が良いです。
まず、加工が必要になります。

たとえば50・80A1やA3などは少しゆるいと思いますのでボンドなどで固定する必要がある場合がございます。
80A4は数ミリマウントが大きいため本体のマウントを削る必要があります。少しきつい程度に削ります。形状は壊さないように。
変換マウントを削らずに必ず本体側を削ってください。

ちなみに、このマウントはクロスボウユーザー以外にも多く売れています。

弦ワックスの使い方は?

「ワックスはどこに塗るのですか?」
このような質問を、よく耳にします。
なぜ、ワックスを塗るのかはご存知でしょうか?
一番の理由は弦の寿命を大きく伸ばすためです。
弦は消耗品でいずれ切れます。もったいないです。
ちょっとでも節約するために弦同士や台座との摩擦を減らす必要があります。
その役割をワックスがしてくれます。
また、普段使用しないときでも弦の劣化を少しでも進めたくない場合にも、ぐりぐり塗って下さい。
さて塗り方です。

まず、弦自体にまんべんなく塗り手で擦り込みます・・・おわりです。

大丈夫??と不安でしたら、
弦と擦れあうクロスボウ本体の台座にも塗りましょう。